雪の降る日に、願いを消して
「別に……」


あたしは聡樹から視線を逸らせて気のない返事をした。


思わせぶりな態度をとっちゃダメだ。


「ちょっと、話できるか?」


あたしの態度を気にしたのか、聡樹は真顔になってそう聞いて来た。


お土産まで持っているということは、少しは長居するつもりだということなんだろう。


一瞬断ろうかと思ったが、聡樹の真剣な表情を見ると逃げるワケにはいかないと感じた。


きっと責められるだろう。


気持を弄んだと言われても仕方がない。


覚悟はできている。


あたしはスッと息を吸い込んで、聡樹を家に上げたのだった。
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