雪の降る日に、願いを消して

散った恋心–聡樹サイド–

目の前で好きな女が泣いている。


泣かせたのは間違いなく俺だった。


『鈴の事を応援するよ』


そう言った直後、鈴は泣き出してしまった。


細い肩を震わせて、両手で顔を覆って子供みたいにしゃくり上げている。


悲しみの涙じゃないなら、まぁいいかなって思ったけれど、やっぱり好きな女の涙は胸を打つものがあった。


泣きじゃくる鈴を見ていたら、抱きしめたい衝動にかられてしまう。


小さな体をきつく抱きしめて、俺がその涙を止めてやりたいと考えてしまう。


だけど、今鈴に約束をしたばかりだ。


俺は鈴と駿の恋を応援するんだ。


だから、ここで手を伸ばすわけにはいかない。


早くも断言した事を後悔しはじめていた。