雪の降る日に、願いを消して
小学校の頃の自分に戻ったようで懐かしかったし、駿の名前を書くというだけでこんなに幸せな気持ちになれるのだと感じた。


「駿とどうなりたいか……」


そう呟いて駿の机に視線を向けた。


あたしと桜子よりも2つ前の席に座っている駿。


あたしと桜子はいつも駿の背中や後ろ頭を見ている。


振り返ってくれないかな?


そんな思いで念を送るようにジッと見つめていたときもある。


前の席からプリントを配られた時に振り返る駿を思い出す。


少し眠そうだったり、後ろの席の友達と会話をして怒られたり。


思い出して、クスッと笑った。


思えば駿が真面目に授業を受けている所なんて、滅多に見たことがないかもしれない。


それでも成績は悪くなくて、クラスの平均を常に上回ってると聞いた。


勉強は得意なのだろう。


思い出して、胸がギュッと締め付けられる。


あたしは黒板へと視線を戻した。


あたしは駿とどうなりたいのか。


「あたしは……駿の彼女になりたい」


小さな声でそう言い、黒板にそのまま書いたのだった。
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