雪の降る日に、願いを消して
あたしは慌てて鞄をつかみ、玄関を出た。


「2人ともどうしたの!?」


驚いてそう聞くと、紗英と聡樹は同じように笑った。


「聡樹が鈴の事を迎えに行こうっていうから」


「なに言ってんだよ、紗英が鈴の事心配してたから誘ったんだろ」


お互いにここへ来る理由を押し付け合っている2人に、あたしはプッとふき出した。


「あ、ほら鈴に笑われちゃったじゃん」


「なんだよ、俺のせいかよ」


聡樹は仏頂面をして紗英を見ている。


「2人ともありがとう。行こうか!」


あたしはそう言い、2人の間に入って2人と腕を組み、歩き出したのだった。
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