雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

この時間に一緒に登校してくると言う事は紗英にとっては早起きで、聡樹にとっては少し遅い時間に家を出たのだろう。


あたしの為に2人で時間を合わせてくれていたのだ。


そう思うと、本当にいい友達を持てたと思えて笑顔になる。


3人で同時に教室に入る事なんて初めてのことだった。


「さすがにまだ誰もいないね」


紗英が教室の中を見回してそう言った。


「そうだね」


あたしは頷く。


だって、ジンクスを行うためには誰もいない教室に来る必要があるんだもん。


「鈴、ラクガキしようぜ」


机に鞄を置いた聡樹がそう言ってきた。


「ラクガキ?」


「あぁ。見てよろ俺の力作を」


聡樹はそう言い、腕まくりをして黒板の前に立った。


ピンク色のチョークを手にして何かを書き始める。


「あ、あたしもやる!」


紗英がすぐに聡樹の横に立って何かを書き始めた。
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