雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆
それから授業が始まり、休憩時間になっても駿と桜子の態度に変化は見られなかった。
桜子は時々駿に視線を送ってはため息を吐き出して切なげな表情を浮かべる。
それは桜子が駿と付き合う前に見せていた表情だった。
「やっぱり喧嘩したんだろうね」
あたしと同じように2人を観察していた紗英がそう言った。
「そうなのかな……」
昨日はあたしに嫌味のようなことまで言ってきていた桜子だ、喧嘩をしたって学校内では中の良い2人でいるために、すぐに謝ってしまいそうに思えた。
でも、実際はどうなのかわからない。
2人の問題は、やっぱり2人にしかわからないものだ。
「鈴、トラは元気か?」
不意に駿にそう聞かれて、あたしは一瞬頭の中が真っ白になってしまった。
このタイミングで話しかけられるなんて思ってもいなかった。
返事をしないあたしを見て駿は「どうした?」と、聞いてくる。
「え、あぁ。うん、元気だよ」
あたしは無理やり笑顔を浮かべてそう言った。
桜子を気にして見て見ても、桜子は1人で文庫本を読んでいる。
「写真、ある?」
「あ、うん……」
あたしは慌ててスマホを取り出した。
それから授業が始まり、休憩時間になっても駿と桜子の態度に変化は見られなかった。
桜子は時々駿に視線を送ってはため息を吐き出して切なげな表情を浮かべる。
それは桜子が駿と付き合う前に見せていた表情だった。
「やっぱり喧嘩したんだろうね」
あたしと同じように2人を観察していた紗英がそう言った。
「そうなのかな……」
昨日はあたしに嫌味のようなことまで言ってきていた桜子だ、喧嘩をしたって学校内では中の良い2人でいるために、すぐに謝ってしまいそうに思えた。
でも、実際はどうなのかわからない。
2人の問題は、やっぱり2人にしかわからないものだ。
「鈴、トラは元気か?」
不意に駿にそう聞かれて、あたしは一瞬頭の中が真っ白になってしまった。
このタイミングで話しかけられるなんて思ってもいなかった。
返事をしないあたしを見て駿は「どうした?」と、聞いてくる。
「え、あぁ。うん、元気だよ」
あたしは無理やり笑顔を浮かべてそう言った。
桜子を気にして見て見ても、桜子は1人で文庫本を読んでいる。
「写真、ある?」
「あ、うん……」
あたしは慌ててスマホを取り出した。