雪の降る日に、願いを消して
駿が体調を崩して倒れた後、何事もなかったかのようにケロッとして教室へ戻って来た駿。


駿の近くにベタベタとくっつく桜子。


駿に近づかず、切ない表情でジッと駿を見ているだけの桜子。


今まで感じていた違和感がどんどん膨れ上がって行くのを感じる。


今日の2人を見る事で、それが明らかに異質なものに見えて来た。


駿と桜子の今までの違和感を並べているうちに、紗英は口数が少なくなっていった。


なにかある。


それがなにか、なんとなくわかった気がしてくる。


「もしかしたら、駿が倒れたのとかも全部仮病だったりしてな」


聡樹が険しい表情でそう言った。


仮病?


あたしは駿が倒れた時の事を思い出す。


青白い顔。


本当に体調は悪そうだった。


だけどその数十分後、駿は何事もなかったかのように教室へ戻って来たことも事実だった。


「仮病を使うのにも、なにか理由はあるはずだよね」


紗英が言う。


「そうだな。そこがわからない所なんだよな」


聡樹はそう言って考え込んでしまった。
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