雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

そして翌日。


昨日と同じくらいの時間に駿と桜子が迎えに来てくれた。


あたしはすぐに玄関を出て、3人で並んで歩き出す。


学校へ到着するまでの会話はもっぱら駿と桜子のことだった。


あの2人が今日どんな態度をとるのか、あたしもその事はとても気になっていた。


教室へ入って昨日と同じようにラクガキをする。


その内クラスメートたちが登校して来て、黒板の前はすぐに生徒たちで満帆になってしまった。


あたしと聡樹と紗英は黒板から離れて駿と桜子が登校して来るのを待った。


昨日のテレビの話題を口に出しながらも、視線は教室のドアへと向かう。


2人はいつも前のドアから入って来る。


「それでね、昨日お母さんってばね」


会話が紗英のお母さんに移って行ったとき、ドアが開いて桜子と駿が入って来た。


その光景に紗英が口を閉じた。


2人は手を繋ぎ、桜子はとても幸せそうにほほ笑んでいる。


駿は黒板のラクガキになんて目も止めず、自分の机に座ってしまった。


昨日は面白そうだって言っていたのに。


駿と桜子はそれからもずっとベッタリで、先生が教室へ入って来るまで離れることはなかったのだった。
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