雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

「どういうことだと思う?」


昨日と同じ屋上。


お弁当をさっさと食べ終えた後で紗英が言った。


紗英は険しい表情であたしと聡樹を交互に見た。


「明らかにおかしい。昨日と違いすぎる」


聡樹はそう言って腕組みをした。


その姿はまるで探偵みたいだ。


「鈴はどう思う?」


「あたしも、おかしいと思う」


そう言い、頷いた。


そいうかそれ以外の意見はきっとあり得ない。


駿は近づいてくるクラスメートに目もくれず桜子と会話をしているのだ。


昨日とは大違いだ。


「あたし、駿と桜子を見てて思った事があるんだけど」


紗英の言葉にあたしと聡樹は紗英に視線を向けた。


「あたしのただの想像だけど……駿って、二重人格なんじゃないかなって」


そう言われた瞬間、体に電撃が走ったような衝撃を受けた。


一瞬呼吸が止まり、空を見上げる。


手を伸ばせば届きそうな場所にある空を見て、あたしは口から空気が抜けていくのを感じていた。


紗英の言った事はあたしも考えていたことだった。
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