雪の降る日に、願いを消して
夢の中へと心地よく引き込まれていくその時だった。


不意にスマホの電子音が響き渡ってあたしは飛び起きてしまった。


枕元に置いてあったスマホが光っている。


紗英や聡樹からは午前中にメールが来ていたから、他の誰かからだろう。


そう思い、画面を確認した。


その瞬間ハッと息を飲んだ。


相手は駿からだったのだ。


慌ててメールを確認する。


《お兄ちゃんに近づかないで》


その内容にあたしの心臓がドクンッと跳ねた。


萌ちゃんだ……。


背中にジワリと汗が浮かんでくるのを感じる。


あたしは手のひらの汗を布団で拭った。
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