雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

昼休みに入った時、聡樹が駿を校舎裏へと呼び出した。


校舎裏に来た駿はあたしと紗英の顔を見て一瞬目をみひらいた。


それでもすぐに聡樹へ向き直り「話ってなに?」と、感情の読み取れない、平坦な口調で聞いた。


「お前さ――」


聡樹がそう言いかけた時、駿の後を追いかけるようにして桜子が姿を現した。


あたしたちの姿を見つけた桜子はすぐに険しい表情へ変わり、駿の腕を掴んだ。


知らない人がこの光景を見たらあたしたちが悪者になるんだろうな。


そんな事を考えながら、2人を見つめる。


「桜子、ちょっと待っててって言ったのに」


駿がそう言うと、桜子は子供のように左右に首を振って「嫌」と、短く返事をした。


駿と片時も離れたくない。


そんな気持ちが伺える。


桜子を見ていると胸の中にヌルヌルとした真っ黒なスライムが絡みつてくるようだった。


嫉妬と憎悪が入り乱れてあたしを離してくれない。


気持が悪くて吐き気がしてくる。


「何の用事かわからないけれど、俺たちに関わるのをやめてくれないか」


桜子が来たからだろうか、駿は話しを早く終わらせたそうにそう言った。


「なんだよその言い方。お前がハッキリしないからだろ!?」


聡樹が怒る。


「ハッキリしないって、何が? 鈴への返事のこと? それならもう断ったはずだけど?」
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