雪の降る日に、願いを消して
駿は……いや、今日の駿はガードが固すぎる。


桜子というおまけまでついてくるため、聞きたいことも口に出せない。


でも、明日になればきっと変わる。


明日登校して来る駿は今日とは違う駿だろうから。


そう思いながら階段を上がり切った時だった。


不意に教室からざわめき声が聞えて来たのだ。


あたしたちは咄嗟に教室まで走っていた。


ドアの前から中の様子を確認する。


教室の中には人だかりができていて、「先生を呼んで来い!」という声が聞こえて来る。


なにかあったんだろうか?


人だかりの中からクラス委員の女子生徒が先生を呼びにかけ出して来た。


「なにかあったの?」


紗英がそう聞くと、委員長は足を止めずにこちらへ視線を向けて「岩中君が倒れたの!」と怒鳴るように言って走って行ってしまった。


駿が!?


ついさっきまで何も変わった様子はなかったのに、どうして急に?


不安が波のように押し寄せてくる。


まさか、あたしたちが駿に無理をさせたのだろうか?


聞いてはいけない事を聞いたのだろうか?


不安が渦のように胸に湧いてきている。
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