雪の降る日に、願いを消して
「だって、駿は双子だったんだろ? 鈴はどっちを好きになったんだ?」


そう聞かれて、あたしは口をポカンと開けてしまった。


あたしが好きになったのはどっちか?


そんな事考えてもいなかった。


あたしは駿を好きになったのだ。


だけどそれは、駿が1人であると思っていたからだ。


駿が2人いたとなると、どちらが好きなのかという問題に直面するのは当然だった。


どうして昨日のうちに気がつかなかったんだろう。


「あたしは……」


入学式の日に遅刻をしてきた駿が好きだった。


後日猫を病院に連れて行っていたのだと聞いて、好きになったから……。


あれは一体、どっちだったんだろう?


「入学式の時に来ていた駿は、明るかったよな」


聡樹がそう言ったので、あたしは聡樹を見た。


明るい駿。


クラスのムードメーカーで、あたしにも声をかけてくれて2人でトラの写真を見る。


「あ、トラだ……!」


ハッと気が付いて、そう呟いだ。


そうだ。


あたしが好きな駿はトラを助けた駿だ。
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