雪の降る日に、願いを消して
気持ち
学校に到着すると、相変わらず黒板の周りには人だかりができていた。


黒板にラクガキをする遊びはいつの間にかクラスのは大半が参加するようになっていた。


あたしはそれを横目で見て通り過ぎようとした……が、途中で駿の姿を見て立ち止まってしまった。


駿はクラスメートの中心に立ち、一番大きなラクガキをしている。


笑い声が絶えず聞こえてきてチョークの音と混ざりあう。


教室内へ視線を向けると桜子が黙って文庫本を読んでいた。


駿を気にする素振りも見せない。


今日来ているのは駿ではなく、ショウだからだ。


謎が解ければ2人の関係はこんなにもわかりやすいのだ。


隠す気もないのかもしれない。


桜子はショウを好きじゃないし、ショウも桜子を好きじゃない。


一緒にいられなくて当然だ。


あたしは長く息を吐き出しながら自分の席に座った。


ショウの楽しげな笑い声は、先生が来る直前まで聞こえてきていたのだった。
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