雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

昼になると、ショウはクラスメートの男子たちと集まってお弁当箱を広げていた。


さっきの授業中にショウは当てられていたけれど、問題を難なく解いていた。


やっぱり、ショウは学力的にはなんの問題もなさそうだ。


人気者で勉強もできるショウがちゃんと学校へ通わないのはどうしてなのか。


あたしには理解できないことだった。


ショウが学校へ行かない事に駿や桜子が絡んでいるのだろうか?


考えてもわからず、あたしはショウから視線を外した。


「食べ終わったら、あいつを屋上に呼び出そうと思うんだ」


そう言ったのは聡樹だった。


「え?」


あたしは口元へ持っていったウインナーを寸前のところで止めて聡樹を見た。


聡樹は真剣な表情を浮かべている。


「もう、ハッキリさせようぜ」


「ハッキリって……?」


「双子なのかどうか。どうして交互に登校して来ているのか。鈴だって気になるだろ?」


それは確かに気になるけれど、いきなり呼び出しなんてどうなんだろう?


ショウだってきっと警戒して、呼び出しには応じないかもしれない。


駿とショウの2人がいる事が周囲にバレれば、駿は学校を辞めさせられることになるかもしれない。


二度と駿にもショウにも会えなくなるかもしれない。


そう思うと、安易に頷くことはできなかった。
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