雪の降る日に、願いを消して
「ほら、小学校の頃転校していった小林が言ってただろ?」
その名前を聞いた瞬間、あたしの中に懐かしい面影が蘇って来た。
そうだ。
あの子の名前は小林。
小林カナちゃんだ。
「そうだっけ? 覚えてないや」
あたしは誤魔化した。
本当はカナちゃんの名前を忘れて、ジンクスを覚えている。
「俺もさ、好きな奴がいるんだ」
聡樹はそう言って、あたしから黒板へと向き直った。
チョークを持ち、黒板にその先を当てる。
カッと心地いい音が教室に響く。
スッと縦に一本線が引かれる。
続いて横に一本。
また、縦に一本。
「人に見られたら意味ないんだよ」
咄嗟にあたしはそう言っていた。
「は……?」
聡樹が驚いたような顔をして振りかえる。
あたしは聡樹から視線を逸らせた。
その名前を聞いた瞬間、あたしの中に懐かしい面影が蘇って来た。
そうだ。
あの子の名前は小林。
小林カナちゃんだ。
「そうだっけ? 覚えてないや」
あたしは誤魔化した。
本当はカナちゃんの名前を忘れて、ジンクスを覚えている。
「俺もさ、好きな奴がいるんだ」
聡樹はそう言って、あたしから黒板へと向き直った。
チョークを持ち、黒板にその先を当てる。
カッと心地いい音が教室に響く。
スッと縦に一本線が引かれる。
続いて横に一本。
また、縦に一本。
「人に見られたら意味ないんだよ」
咄嗟にあたしはそう言っていた。
「は……?」
聡樹が驚いたような顔をして振りかえる。
あたしは聡樹から視線を逸らせた。