雪の降る日に、願いを消して
「猫、好きなんだね」


「あぁ。じゃないと入学式に遅刻してまで助けたりしないだろ」


「そうだよね……」


「なんだよ、さっきから元気がないな」


あたしのスマホから視線を外してショウがそう言った。


「え?」


「さっき紗英も教室から出て行ったし、なにかあったのか?」


その質問にあたしは驚いて目を見開いていた。


「……見てたの?」


思わずそう聞いていた。


「同じクラスなんだから、そりゃぁ少しは見てるだろ」


ショウは首を傾げてそう言った。


そうかもしれない。


駿はいつも桜子の事しか見ていなかったから驚いてしまったけれど、普通に考えれば不思議なことではないのだ。


同じ教室にいるのだから、嫌でも他人の行動が目に入ってきてしまう。


「なにかあったのか?」


それでもショウがこうしてあたしの事を気にかけてくれることは、素直に嬉しいと感じられた。


「あたしは……紗英を傷つけたかもしれない」
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