雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

あたしの名前は岡崎鈴(オカザキ スズ)。


この池田高校に入学してから、田中駿(タナカ シュン)と出会った。


駿は人懐っこい笑顔にあたしは一目ぼれをしてしまったのだ。


一目ぼれなんてしたのは産れて初めての経験で、正直すごく戸惑った。


この気持ちが本物なのかどうか、自分でも自身が持てなかったくらいだ。


それに、駿のその笑顔を見たのが、入学式の時だったと言う事もある。


とても大事な入学式の日、駿は遅刻をして来たのだ。


体育館には沢山の生徒と保護者が集まり、先生の挨拶が始まっていた。


そんな中大きく開いた体育館の戸。


全校生徒の視線がそこに立っていた駿に注がれていたのに、駿はどうってことないというようにほほ笑んでいた。


変な子。


確かにあたしはそう感じていたんだ。


こんな日に遅刻してきて、申し訳なさそうな顔1つもしないなんて、変な子。


だけど、あたしの心臓は駿を見た瞬間ドクンッと大きく跳ねていた。


自分でも理解できない感情。


駿があたしと同じクラスの椅子に座った時に感じた嬉しさ。


そしてその後、駿が遅刻をした原因が車に轢かれた猫を動物病院まで連れて行ったからだと知った。
< 2 / 312 >

この作品をシェア

pagetop