雪の降る日に、願いを消して
ショウはクラスメートたちに謝りながら早足に歩き出した。


あたしと紗英は目を見交わせて、その後を追いかける。


行先は同じ生徒玄関だ。


そこまでついて行っても誰も違和感は覚えないはずだ。


ショウの後を追いかけて階段を下りていると、途中で聡樹と遭遇した。


先輩たちと何か話をしていた聡樹は２階にいて、あたしたちの姿を見つけるとすぐに駆け寄って来た。


「よぉ、一緒に帰ろうぜ」


聡樹がそう言った瞬間、紗英の頬がほんのりと赤くなるのがわかった。


今まで気が付かなかったけれど、紗英はこんなにもわかりやすく自分の気持ちを表に出していたのだ。


聡樹はまだその事に気が付いていないけれど、気が付くのも時間の問題かもしれない。


あたしは２人を置いて歩き出した。


「おい、鈴？」


聡樹が声をかけて来るけれど無視してショウの後を追いかける。


２人の足音があたしを追いかけて来るのが聞こえて来た。


１階まで階段を下りきった時、ショウの姿を見失ってしまった。


周囲を見回してもどこにもいない。


帰宅する生徒たちの中に混ざってしまったのかもしれない。
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