雪の降る日に、願いを消して
あたしは大きく肩を落とした。


ショウについて行けば、また決定的な現場を見る事ができるかもしれないと思ったのに……。


「鈴、ショウは?」


追いかけて来た紗英にそう聞かれたので、あたしは左右に首を振った。


「でも、生徒玄関は絶対に通るんだから行ってみようよ」


紗英がそう言い、あたしの手を握って歩き出した。


今の時間は生徒玄関も人でごった返している。


靴を履きかえるのも順番待ちの状態で、ショウはすでに外へ出ているかもしれなかった。


「あーあ。どこかに行っちゃったね」


紗英がため息交じりにそう言った時だった。


「それって俺の事?」


とういう声が後方から聞こえてきて、あたしたち3人は驚いて振り向いた。


そこにはほほ笑みを浮かべて立っているショウの姿があったのだ。


驚きすぎて声が出ない。


みんな金魚みたいに口をパクパクと動かすばかりだ。


「なんだよ3人とも、俺を追いかけてきてたのか?」


ショウはそう言い、ムッとしたように眉間にシワをよせた。


「ち、違うの……!」


慌てて言い訳をしようとするが、うまい言葉が見つからない。


ショウはあたしたちが追いかけてきていることに気が付いて、きっとどこかに隠れていたのだろう。
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