雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

あぁ。


今日は駿だな。


桜子と2人で寄り添うようにして登校してきた駿を見てあたしはそう理解した。


2人の様子を見ていると、昨日の出来事をショウから何も聞いていなさそうだ。


ショウは弟である駿を守っているから、駿が傷つき、困るような事は口にしないのかもしれない。


それならそれでいい。


だけど、駿は桜子と付き合う事でショウを裏切っているのだ。


いつまでも兄としての優しさに包まれているワケにはいかないだろうと、心の片隅で感じていた。


2人の関係がギクシャクてほしいわけではないけれど、駿だけが彼女を作って幸せになろうとしているというのが納得できなかった。


駿はショウの人生まで奪っているのだ。


約束事くらいちゃんと守るべきだ。


駿はショウの優しさに甘えているんじゃないか。


他人のあたしがそんな事を考えるのもどうかと思うけれど、桜子と駿を見ているとどうしてマイナスな感情が湧いてきてしまう。


2人を見てももう胸の奥がうずくような痛みに襲われることはない。


だって、あたしが好きなのはショウなのだから。
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