雪の降る日に、願いを消して
疑問
それから数十分経過すると、ほとんどの生徒たちが登校して来ていた。


「鈴、おはよう!」


元気いっぱいに声をかけて来る紗英にあたしは挨拶を返す。


その直後駿と桜子が肩を並べて教室に入って来るのが見えて、あたしはすぐに視線を逸らせた。


駿の隣を歩く桜子はとても幸せそうな表情をしているし、駿も桜子の隣にいることをとても喜んでいるように見える。


そんな2人を直視できるほど、あたしの心は広くはなかった。


「おはよう2人とも」


桜子にそう声をかけられると、曖昧にほほ笑んで小さな返事をすることしかできない。


嫉妬や悲しみが胸の中に膨らんでいくのがわかる。


「2人とも、駿の事が好きなんだよね?」


紗英が桜子には聞こえないようにそう言って来た。


あたしは無言のまま首を縦に振った。


「それなのに2人とも告白しないんだよね?」


紗英が不思議そうな表情を浮かべてそう聞いて来た。


「うん……そうだね」


少なくとも、あたしに告白する気はない。


今の状況で告白しても振られるだろうし、駿との関係を進める勇気もまだ持てていない。
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