雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

可愛い服が沢山あって、つい買い物をし過ぎてしまった。


あたしの手にも、紗英の手にも買い物袋が下げられている。


お金はなくなってしまったけれど、心はとても満足していた。


「新しい服を着て一緒に遊びに行こうね」


分かれ道に差し掛かり、紗英がそう言った。


「うん、絶対だよ!」


あたしはそう返事をして、手を振って紗英と別れた。


あたしの家はもう少し先だ。


紗英は朝迎えに来てくれる時、わざわざ遠回りをしてくれていたのだ。


そんな紗英に感謝しながら真っ直ぐに歩いて行く。


と、その時だった。


道の前方に見たことのある女の子が立っていて、あたしは歩調を緩めた。


萌ちゃんだ……。


どうしてこんな所にいるんだろう?


萌ちゃんは制服姿だが、周囲に人の姿はない。


1人で道路に立っているのだ。


誰かと約束でもして待っているのかもしれない。


が、道路の真ん中で約束と言うのはなんだかおかしい。


コンビニでもファミレスでも、いくらでも店はある。
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