雪の降る日に、願いを消して
「話があるんだけど」


「へ……?」


萌ちゃんの言葉にあたしはマヌケな顔でマヌケな返事をしてしまった。


萌ちゃんは今あたしに話しかけてるんだよね?


ってことは、萌ちゃんがあたしに話があるってこと?


頭の中は大混乱だ。


萌ちゃんからすればあたしは敵。


家族の輪をかき乱す嫌な女のはずだ。


「話って……あたしと?」


あたしはどうにか声を絞り出してそう聞いた。


「あんた以外誰がいるの?」


そう言われて周囲を見回す。


誰も歩いてはいない。


萌ちゃんが声をかけた相手はあたしで間違いなさそうだ。


「あたしの事を……待ち伏せしてたの?」


「悪い? あんたはあたしのお兄ちゃんを尾行してたんだってね」


そう言われて、心臓が大きく跳ねた。


萌ちゃんはショウから何かを聞いているのだ。


急速に喉が乾いていくのを感じた。


同時に萌ちゃんから何か聞き出す事ができるかもしれないという期待が生まれた。


「わかった、話を聞くから移動しよう」


あたしはそう言い、近くのファミレスへと向かって萌ちゃんと2人歩き出したのだった。
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