雪の降る日に、願いを消して
あり得ない
ファミレスの中は空いていた。


ホッと胸をなで下ろして窓際の席に座る。


ドリンクバーを2つ注文して、あたしはウーロン茶。


萌ちゃんはオレンジジュースを持って席へともどってきた。


あたしはウーロン茶を半分ほど一気に飲み干して息を吐き出した。


萌ちゃんは年下なのに、一緒にいるとやけに緊張してしまう。


もっと堂々としていたいのに、どうしてもできない。


そんな自分が少しだけ情けなくなる。


「お兄ちゃんたちの正体に気が付いたんでしょ?」


突然そう聞かれ、あたしは思わずむせてしまった。


そんなに単刀直入に聞かれるとは思っていなかった。


「焦らなくてもいいよ。気が付いたものは仕方がないから」


萌ちゃんはそう言うと、オレンジジュースをひと口飲んだ。


あたしはウーロン茶で喉を通りを直して萌ちゃんを見た。


怒っている様子はなさそうだ。


かといって今の状況を楽しんでいるようにも見えない。
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