雪の降る日に、願いを消して
「お兄ちゃんたちもさ、もう少し気をつければよかったんだよ。学校でも別人だってバレバレの態度だったでしょ? いつかバレるって思ってたんだよね」


「そ……そうなんだ……」


萌ちゃんはストローでグラスの中をかき混ぜてカラカラと氷の音を立てた。


「萌ちゃんは……怒ってないの?」


「怒る? なんで?」


萌ちゃんは首をかしげてあたしを見る。


誰でもするその仕草でもやけに大人っぽく見えて、ドキマキしてしまう。


見れば見るほど本当に大人っぽい子だ。


「駿たちは双子だってバレるのは嫌だったはずだし……」


「そうれはそうだけど、さっき言ったようにバレるのは仕方ないと思ってるよ。偶然あなたにバレただけで、他の生徒たちが気が付いててもおかしくなかった。


それくらい、お兄ちゃんたちには警戒心がなかったんだよ」


ため息交じりにそう言った萌ちゃん。


「だから、あたしが今日話したいのはそこじゃなくてさ……」


急に歯切れが悪くなった。


萌ちゃんはあたしから視線をそらして、机についた水滴を指先でなぞっている。
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