雪の降る日に、願いを消して
そう言い、言葉を濁す。


妹尾先生はいぶかしげにあたしを見て来た。


その表情を見て一歩後ずさりをしてしまう。


素直に話さない方がよかったかもしれない。


クラス表を見せてもらうための言い訳をちゃんと考えてくるべきだった。


「他校に行ってる友達が、うちの学校の1年生の子を好きになったんです。名前だけでも知りたいって言ってて、協力してやることになったんです」


スラスラとそう答えたのは聡樹だった。


「その他校の友達って、大丈夫なのか?」


聡樹の説明を聞いても妹尾先生はいぶかしげな表情を崩さない。


自分の学校の生徒が他校の生徒から危険な目に合わされるかもしていないと、懸念しているようだ。


「大丈夫です。相手は○×高校の生徒ですから」


その高校名を出した瞬間、妹尾先生の顔色が変わった。
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