雪の降る日に、願いを消して
しかしその3組とも『カレン』という名前の生徒は見当たらなかった。


「この学校の生徒じゃないってことかな」


聡樹が大きく伸びをしてそう言った。


「わからない。もしかしたら先輩とか、後輩になるのかもしれないし……」


萌ちゃんが言っていた言葉を思い出してみても、それはわからなかった。


『カレン』という名前しか出て来なかったのだから。


「そこまで探すとなると大事だね……」


紗英が困ったようにそう言った。


「うん……」


あたしは表を束ねながら息を吐き出した。


そんなに簡単に『カレン』という人物を見つけることができるとは思っていなかった。


だけど見つからなかったら見つからなかったで、やっぱり落ち込んでしまう。


「考えてもわかるもんじゃないし。次は2年生のクラス表をもらってくるか?」


「そうだね……」


きっと、そうやって地道に可能性を潰していくしかないんだろう。


だけど、妹尾先生がいつまであたしたちの嘘を信じてくれるか、と言う所は疑問だった。


さすがに同じ嘘じゃ無理がある気がする。
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