雪の降る日に、願いを消して
「それよりさ、駿と知り合いの人をあたった方が早くない?」


そう言ったのは紗英だった。


「それはそうかもしれないけど……」


駿の周囲を動き回るということは、駿にバレる可能性が高くなるということだ。


あたしは今までも何度も駿を尾行したりしている。


その中で駿が女の子と一緒にいたことはない。


桜子以外の女の子と駿とのつながりを、あたしは知らない。


「目立った行動は避けたいんだよな?」


聡樹があたしの気持ちを代弁して言ってくれた。


「うん。また萌ちゃんにも迷惑をかけちゃうし……」


「そっか。それならやっぱり地道に探すしかないね」


紗英がそう言って立ち上がった。


その時だった。


「さっきから何の話をしてるんだい?」


そんな声が聞こえてきて、あたしたち3人は同時に振り向いた。


後ろの本棚から男子生徒が顔をのぞかせた。


背が高く、短髪で日焼けをしているが、その生徒に見覚えはなかった。


あたしたちは硬直し、ジッとその生徒を見つめる。
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