雪の降る日に、願いを消して
「俺は2年の前田っていうんだ。駿って声が聞こえて来たから、何かと思って」


前田先輩はそう言い、笑顔を浮かべた。


駿の名前に反応したということは、駿の知り合いなんだろうか?


同じ名前で別人という可能性もあるけれど、知り合いと同じ名前がでてきただけで声をかけて来ることに違和感を覚えた。


あたしは聡樹を見た。


聡樹は小さく頷く。


「駿って言うのは俺のクラスの――」


「岩中駿?」


聡樹の言葉を遮るようにしてそう言った前田先輩。


「駿を知ってるんですか?」


あたしは思わず大きな声になってそう聞いてしまい、周囲を見回した。


勉強中だった生徒からの視線を感じたが、みんなすぐに勉強へと戻って行ってホッと胸をなで下ろした。


「あぁ。家が近いんだ。小学校から一緒だ」


うそ!?


今度は心の中で叫んだ。
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