雪の降る日に、願いを消して
こっそり会話を聞こうと思って歩調を緩めてしまう自分が嫌だった。


2人の後ろを通り過ぎる瞬間、駿と桜子の楽しげな笑い声が聞えて来た。


隣のクラスの友達と立ち話をしていたようで、同時に聞こえて来たその声に下唇を噛んだ。


どうして2人は付き合わないんだろう。


そんな疑問が浮かんでくると同時に、自分の眉が釣りあがるのを感じていた。


怒ったってどうしようもないことなのに、どうしようもなく腹が立つ。


そんな自分が幼稚に見えて更に腹が立ち、あたしは早足で人ごみの中を駆け抜けたのだった。
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