雪の降る日に、願いを消して
駿にも、あの悲鳴が聞こえたのだ。


あたしは咄嗟にそう思った。


外に出ている人間にでさえ、微かにしか聞こえて来なかったあの悲鳴を、駿は確かに聞いたのだ。


でも、どうやって?


家の中にいた駿にあの悲鳴が聞こえて来るなんて到底思えない。


だとしたら……約束。


可憐さんと駿が交わした約束。


それが一体なんなのかあたしは知らない。


だけど、その約束が関係しているように感じられた。


2人の間にしかわからない何かがあるんじゃないか?


そんな気がした。


駿はそのままずるずると座り込んでしまった。


自力では立ち上がることもできないのか、ただそこで涙を流し続けている。


どうすればいいの……?


駿に近づくこともできずに呆然として立ち尽くす。


その時だった、駿の家の玄関が開いて、駿と同じ顔のショウが出て来た。
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