雪の降る日に、願いを消して
ショウはあたしたちの存在に気が付くと驚いたように目を丸くしたが、すぐに駿の元へとかけよった。


「大丈夫か?」


駿の前にしゃがみ込み、そう聞く。


駿は力なく頷き、涙をぬぐった。


「家に戻ろう。手当をしてやる」


ショウがそう言い、駿の肩を支えて立たせる。


あたしはその光景を見つめる事しかできなかった。


きっと、これは見てはいけないものだったんだ。


本当に、足を踏み入れてはいけないものだったんだ。


あたしたちは部外者。


桜子とは立場が違ったんだ。


そんな事をいまさら思い知っても、もう戻る事はできない。


あたしは自分のわがままのままに行動し、ここまで来てしまったのだから。


「お前らも、入れよ」


ショウに促されて、あたしたち3人は岩中家へと向かったのだった。
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