雪の降る日に、願いを消して
怪我
岩中家はとても綺麗に掃除された家だった。


ワックスがかけられた廊下とリビング。


玄関を入って左手には花台があり、ピンクと白の可愛い花が飾られていた。


リビングもとても綺麗で、白に近いグレーで統一されていた。


真っ白じゃない分、とても落ち着いている雰囲気だ。


あたしたち3人はリビングの茶色にソファに座らさせてもらった。


ショウが駿を1人掛のソファに座らせると、棚の中から救急箱を取り出して持ってきた。


テーブルに置いて蓋を開けると、中には包帯や消毒液などがギッシリと入っている。


しかしその中に風邪薬などが入れられていないことに気が付いた。


「駿、怪我を見せてごらん」


ショウが優しくそう言うと、駿はチラリとあたしたちの方へ視線を向けた。


ここでようやくあたしたちの存在に気が付いたようだ。


「なんでこいつらがここにいるんだ」


駿がショウを睨んでそう言った。


「仕方ないだろ、色々とバレたんだから。ほら、傷を見せろってば」


「バレた? この女が勝手に動き回ってただけだろ!」


駿が声を荒げてあたしを指さした。


あたしはビクリと体を震わせる。
< 253 / 312 >

この作品をシェア

pagetop