雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

小学校最後の夏休みになっていた。


外はジリジリと焼けるように熱く、毎日30度を超える気温が続いている。


このまま焼け死んでしまうんじゃないかと不安になるような日々。


そんな毎日でも、夏休みというだけで外に出ないといけないような気持ちになってくる。


俺とショウは宿題もそこそこに毎日山や川に遊びに行っていた。


山に入れば昆虫採集をして、川では小魚を吊ったり泳いだりしていた。


今年の夏は台風が少なくてとても過ごしやすい日が多かったのだ。


そして、その日はやってきた。


俺とショウと桜子の3人は近所に神社まで競争することになった。


明日から2日間そこの神社で夏祭りが始まる。


その前に下見に行こうということになったのだ。


『あたしは女の子だから、ハンデをつけてよね』


桜子がそう言い、俺たちよりも随分前の方でスタンバイをした。


『仕方ないなぁ』


俺はそう言いチラリとショウを見る。


ショウは足首をクルクルと回して準備している。


『よし、行くぞ!』


体勢を低くして走るスタンバイをする。


『よーい、どん!』


掛け声と同時に3人は走りだした。


家から神社までの道のりは約1キロ。


途中でバテてしまうことは明白だったが、この走り出しが一番楽しいんだ。
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