雪の降る日に、願いを消して
俺とショウはあっという間に桜子を抜き去った。


『ちょっと、待ってよ!』


後ろからそんな声が聞こえてくるので振り返ると桜子が一生懸命走って来るのが見えた。


置いて行くのもかわいそうだと思い、俺は少しだけスピードを緩めた。


するとショウがすぐに俺を抜き去って行った。


『おい!』


桜子を待ってやれよ!


という言葉はショウの背中には届かない。


俺と桜子は並ぶようにして走った。


時折強い風が吹いてここち良い。


山が近くなってくると日陰が多くなり、走っていても苦じゃなくなってくる。


神社の石段が見えたころ、ショウが石段の一番下に座っているのが見えた。


とっくの前にゴールしていたようだ。


『疲れた!!』


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