雪の降る日に、願いを消して
なにを言うべきなのか、何を言えばいいのかわからなくて、そう呟くように言った。


その瞬間、可憐が弾かれたように立ち上がった。


逃げようと走り出すが、体力がないのかすぐに座り込んでしまった。


『可憐!!』


駆け寄ると、可憐は俺の方を見ようとすもせずに左右に首を振った。


ほっといてほしいのかもしれない。


だけどほっとけるワケがなかった。


可憐は引っ越したはずだ。


俺たちに何も言わずに、どこか環境のいい場所へと行ってしまったはずだった。


それなのに、どうしてこんな所で、こんなに痩せこけているのか。


頭が全くついていかなかった。


『これを』


ショウがそう言って可憐にペットボトルのジュースを差し出す。


その瞬間、可憐の目の色が変わった。
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