雪の降る日に、願いを消して
一生可憐さんの傷を背負って行く。


そう、誓ったのだった。


「その夢を見た翌日、俺は可憐の父親について少しだけ調べたんだ。そしたら、警察の上層部の人間と繋がっていることがわかった。まともな職業じゃないことは一目瞭然だった。近所の人たちが可憐の家を見て妙だと感じても何も言えないのは、そういう事が関係していたからなんだ」


八方ふさがり。


まさにそんな状況だったのだろう。


相手が危険な職業ならなおさらだ。


可憐さんを無理やり連れ出せばどんな仕打ちが待ち受けているかもわからない。


もしかしたら可憐さんもそれを恐れて父親を庇ったのかもしれない。


「でも、願いを消す方法は1つだけ存在してるんだよね」


あたしは今聞いた話を思い出しながらそう言った。


本当の愛を持っている人間が、八つ裂きにされる。


そうすれば駿と可憐さんの願いは消えて、ショウは自分の人生を生きることができるんだ。


「そんな事をしてくれる人がいるとは思えない。それに、俺は願いを消すつもりはない」


キッパリと言い切った駿。


その目には意思の強さが感じられる。


だけど、このままじゃ駿も一生可憐さんに引きずられる人生を送ることになるのだ。


2人の人生を犠牲にしなきゃいけないなんて、間違っている。


一番いい方法はどうにかして可憐さんを助け出し、そして願いを消すことだった。


でも、そんな事ができるのかどうか……。


あたしは大きく息を吐き出したのだった。
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