雪の降る日に、願いを消して
「叔父さんに頼めば、もしかしたらなにか解決するんじゃないかって、ずっと思ってたんだ」


前田先輩は指先をモジモジと動かしながら言った。


ずっと悩んでいたのだろう、ようやく考えを口に出せたことにホッとしている様子が見えた。


「それって、可憐さんを助けられるかもしれないってことですか?」


そう聞くと、前田先輩は頷いた。


「叔父さんはとても多忙な人で、頼みごとをするにも時間が取れなかったんだ。だけど、明日から一週間、今受け持っている事件の関係でこっちに来る事が決まっているんだ」


その言葉にあたしは大きく口を開いた。


なんてタイミングなんだろう!


「だけど、叔父さんはあくまで仕事としてこっちに来る。だから、邪魔になる事は避けたくて、それで悩んでいたんだ」


「そうだったんですか……」


あたしは呟くような返事しかできなかった。


「それでも、お願いしたいです。可憐さんが助かるかもしれないなら、力を貸してほしいです」


しっかりとした口調でそう言ったのは聡樹だった。


「そう言ってくれると思ってた。このままじゃダメだ。強い力にねじ伏せられたままじゃダメだって、ずっと思ってたから」


前田先輩はそう言うと、とても嬉しそうに笑ったのだった。
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