雪の降る日に、願いを消して
毎日教室で顔を突き合わして毎日会話をしている相手なのに、不意に腕の筋肉に視線が向いた。


スポーツをしているだけあって、筋肉の筋が浮き上がっている。


体格も随分よくなっていて、身長も見上げるくらいだ。


幼馴染でずっと一緒にいたからこそ気が付かなかったが、聡樹は男になっていた。


そう理解した瞬間なんだか恥ずかしくなって聡樹から視線を逸らせた。


掴まれている腕が熱を帯びたように熱い。


「鈴」


あたしの名前御を呼ぶ声も、昔に比べたら低く、そして落ち着きのあるものに変わっている。


当たり前だ。


あたしも聡樹も、もう子供じゃない。


「なに? 早く帰りたいんだけど」


そう言いながらも、聡樹と視線を合わせることはできなかった。


予感が胸の中に渦巻き、心臓はドクドクと跳ねはじめる。
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