雪の降る日に、願いを消して
暗いからよく見えないけれど、鼻の頭がほんのり赤くなっているのがわかる。


「ごめんね、萌ちゃん」


あたしは萌ちゃんに謝罪した。


「別に。あんたがどんどん首突っ込んできてることは知ってたし」


プイッとそっぽを向く萌ちゃんはスッピンで、いつもの妖艶さはなかった。


「そっか」


「それに、駿兄さんを助けてくれるんでしょ?」


そう聞かれて、あたしは頷いた。


「もちろんだよ」


あたしは萌ちゃんと2人で歩き出す。


行先はあの神社だった。


萌ちゃんを呼んだ理由は2つある。


1つは今まで身勝手な行動をしてしまったことを謝ること。


そしてもう1つは、駿と可憐さんの愛を目の前で見て来た萌ちゃんに、あたしの愛を確認してもらうためだった。


あたしが萌ちゃんに謝ると、萌ちゃんはぶっきらぼうに「別に、気にしてないし」と、答えた。


相変わらずそっぽを向いている。
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