雪の降る日に、願いを消して
けれどその歩調はあたしと同じ速度で、決して背中を向いているわけではないのだ。


萌ちゃんの態度にクスッと笑う。


「あたしはショウのことが本当に好きなんだけど、萌ちゃんどう思う?」


「どうって……全然足りないに決まってんじゃん」


「やっぱり、そうか……」


あたしは夜空を見上げて息を吐き出した。


空に星は出ていない。


雪雲が覆い尽くしてしまっているようだ。


「あたしの愛じゃダメかな……」


「まぁ、やるだけやってみれば?」


ツンツンした返事をしながらも、あたしの行動を止めようとしない萌ちゃん。


少しだけ、期待しているのかもしれない。


これで駿の願いが消えるかもしれないと。


「それよりさ、あんたはいいの?」


「へ?」


首を傾げて萌ちゃんを見る。


「体、八つ裂きにされるんだよ? それってさ、死ぬってことだよね……?」
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