雪の降る日に、願いを消して
石段を登り切り、拝殿へ向かう。


そしてまた頭を下げて……その時だった。


突然拝殿の中が明るくなった。


あたしはハッとして顔を上げる。


電気がついたのかと思ったが違う。


拝殿のすべてを包み込むように黄金色に輝き始めたのだ。


唖然として突っ立っていると、後方から人の声が聞こえて来た。


それはよく聞きなれている大好きな人の声。


振り返ると、ショウが立っていた。


ショウだけじゃない、駿も、聡樹も、紗英も萌ちゃんも……そして、桜子もいる。


「み……んな……どうして?」


「萌から事情を聞いた」


息を切らしたショウが言う。


あたしは驚いて萌ちゃんを見た。


萌ちゃんは頬をぬらして泣いている。


大人びていない、普通の中学生がそこに立っていた。


「やっぱり無理。こんなの黙っておくなんてできなかった」


しゃくり上げながら萌ちゃんが言う。


その様子にあたしはなぜだかホッとしてしまった。


みんなを呼んできてくれたことも嬉しかったけれど、萌ちゃんが無理せずに泣いてくれているのが嬉しかったんだ。
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