雪の降る日に、願いを消して
「ありがとう、萌ちゃん」


「鈴、これは……」


聡樹が拝殿を見てそう呟いた。


あたしは正面を向き直る。


「あたしの願いが届いたみたい」


やっと、神様はこっちを向いてくれたんだ。


「そんな、それって……」


紗英が悲痛な声を上げる。


「大丈夫だよ紗英。あたしは大丈夫だから」


あたしは一度紗英の方を振り向いてそう言った。


なにが大丈夫なのか自分にもよくわからなかったけれど、あたしの心はとても穏やかだった。


本当に大丈夫だと、そう思えていた。


黄金色の光があたしの体を包み込む。


その光の中はとても暖かくて、そしてとても幸せな気分になれた。


「鈴!!」


聡樹がこちらへ走り出す。


あたしへ向けて手を伸ばしたその時、光に包まれたあたしの体がフワリと空中へ浮いたのだ。


「うわぁ」


思わず声を漏らした。
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