雪の降る日に、願いを消して
目は自然と駿を追いかけて、耳は駿の声を探していて、口を開けば駿の話題を出してしまう。


そんな自分を客観視して、あぁ、これはやっぱり恋なのだとわかったのだ。


それから何か月もたち、今は冬。


駿への想いは、今だ伝えられないまま。


「駿ってば面白いね」


休憩時間にあたしの机に近づいて来たクラスメート、川上紗英(カワカミ サエ)はそう言って笑った。


紗英から駿の名前が出て来た瞬間、思わず顔がカッと熱くなる。


真っ赤になってしまった顔を隠すように、あたしは両手で口元を覆った。


「でも、やっぱり可愛いよね?」


そう聞いてくる紗英は、あたしの気持ちを知っている。


この高校に入学して初めてできた友達、今はあたしの大親友だ。


「知らない」


あたしは紗英の言葉にそっぽを向いてそう言った。
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