雪の降る日に、願いを消して
「俺さ……」
『俺さ』
たったそれだけの聡樹の言葉を聞いただけで、今すぐこの場から逃げたくなった。
嫌だ。
聞きたくない。
しかし聡樹につかまれた腕はびくともしない。
「お前の事が好きだ」
その言葉が鼓膜を揺るがした瞬間、周囲の音が消えた。
オレンジ色に染まっている世界に、あたしと聡樹しかいなくなった感覚だった。
「お前が駿の事だけを見てることは知ってる。だけど、お前だってもう気が付いてんだろ?」
『お前だってもう気が付いてんだろ?』
それが誰の、何をさしているのかあたしにはわからなかった。
駿の、桜子への気持ちだろうか?
桜子の、駿への気持ち?
それとも聡樹の……。
そこまで考えて、あたしは俯いた。
外に突っ立っている事はとても寒いことなのに、体中がほてっている。
『俺さ』
たったそれだけの聡樹の言葉を聞いただけで、今すぐこの場から逃げたくなった。
嫌だ。
聞きたくない。
しかし聡樹につかまれた腕はびくともしない。
「お前の事が好きだ」
その言葉が鼓膜を揺るがした瞬間、周囲の音が消えた。
オレンジ色に染まっている世界に、あたしと聡樹しかいなくなった感覚だった。
「お前が駿の事だけを見てることは知ってる。だけど、お前だってもう気が付いてんだろ?」
『お前だってもう気が付いてんだろ?』
それが誰の、何をさしているのかあたしにはわからなかった。
駿の、桜子への気持ちだろうか?
桜子の、駿への気持ち?
それとも聡樹の……。
そこまで考えて、あたしは俯いた。
外に突っ立っている事はとても寒いことなのに、体中がほてっている。