雪の降る日に、願いを消して
本物の愛をキミに
足に激しい痛みを感じて目を開けた。


ぼやけた視界の中、いろんな人たちが動き回るのが見える。


大声でなにか言っているけれど、声が重なって聞き取れない。


首を動かして周囲を確認してみようと思ったけれど、体が自由に動かない。


まるで何週間も何か月も眠っていたかのようなけだるさがある。


「鈴!!」


そんな声が聞こえてきて、あたしの視界はようやくクリアになった。


あたしを呼んだのはお母さんだった。


「鈴、大丈夫か?」


この声はお父さん。


2人とも心配そうにあたしの顔を覗き込んでいる。


どうしたの?


そう言いたくても、喉がひび割れているような感覚がして声がでなかった。


「よかった、鈴、目が覚めたんだね!!」


泣き顔で覗き込んできたのは紗英だ。


紗英まで、どうしてここにいるの?


ここはどこ?


あたしの部屋じゃないの?
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