雪の降る日に、願いを消して
キョトンとしていると、聡樹と桜子と萌ちゃんが視界に移った。


みんな交互にあたしを覗き込んでいるようだ。


なんだか見世物になれている気分になるけれど、自分から動くことができないんだからどうしようもなかった。


それに、みんなの顔を見るたびにホッとしている自分がいる。


よかった。


みんな、助かったんだね。


そう思った瞬間、違和感を覚えた。


助かった?


何から?


あたし、どうしてたんだっけ?


思い出そうとしても思い出せない。


なにかひどい無茶をしてしまった気がする。


「鈴……」


その声に心臓は大きく跳ねる。


駿……。
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