雪の降る日に、願いを消して
伸ばした手は空中で止まり、駿に触れることができなかった。


桜子が振り返る。


その目には涙が滲んでいるが、あたしを睨みつけている。


え……?


なんで?


なんであたしがにらまれなきゃいけないの?


そんな疑問がわいてくるけれど、言葉にすることはできなかった。


そんな事を聞いている場合ではない。


駿が倒れているのだから。


「桜子、先生を――」


「わかってる」


あたしの言葉を遮るようにして桜子はそう言った。


なんでだろう?


こんな時なのに、なんで桜子はそこまであたしに敵対心をむき出しにするのだろう。


「先生を呼んでくるから、駿には近づかないで」


桜子はそう言い、教室を出たのだった……。
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