雪の降る日に、願いを消して
『駿には近づかないで』
それはまるで『あたしの彼氏に近づかないで』と言われているような気分で、あたしはぼんやりと駿の顔を見つめていた。
青白い顔。
長いまつ毛はピクリとも動かず、瞼はかたく閉じられている。
思わず駿の頬に触れてしまいそうになる自分の手を慌ててひっこめる。
こんな状態で触れる事もできないなんて……もどかしくて下唇を噛んだ。
「駿……」
「鈴、これを」
そう言われて振り返ると、聡樹が自分のジャージを差し出して来た。
「ありがとう……」
少し気まずかったが、あたしはそのジャージを素直に受けとって駿にかけた。
2人の香りが混ざり合う。
「桜子、あんな言い方しなくてもいいのにね」
紗英はさっきから起こった顔をして桜子を非難している。
周りにいて桜子の発言を聞いていた子たちも、同じように非難の声を上げている。
だけど今は辞めてほしかった。
駿が聞いてしまうかもしれない。
自分のせいで桜子が周囲から嫌われたかもしれないなんて、余計な不安を感じさせたくなかった。
それはまるで『あたしの彼氏に近づかないで』と言われているような気分で、あたしはぼんやりと駿の顔を見つめていた。
青白い顔。
長いまつ毛はピクリとも動かず、瞼はかたく閉じられている。
思わず駿の頬に触れてしまいそうになる自分の手を慌ててひっこめる。
こんな状態で触れる事もできないなんて……もどかしくて下唇を噛んだ。
「駿……」
「鈴、これを」
そう言われて振り返ると、聡樹が自分のジャージを差し出して来た。
「ありがとう……」
少し気まずかったが、あたしはそのジャージを素直に受けとって駿にかけた。
2人の香りが混ざり合う。
「桜子、あんな言い方しなくてもいいのにね」
紗英はさっきから起こった顔をして桜子を非難している。
周りにいて桜子の発言を聞いていた子たちも、同じように非難の声を上げている。
だけど今は辞めてほしかった。
駿が聞いてしまうかもしれない。
自分のせいで桜子が周囲から嫌われたかもしれないなんて、余計な不安を感じさせたくなかった。